2018年 8月14日 朝日新聞 社説より
日米の閣僚級による新しい貿易協議の初会合が開かれた。米国は自由貿易協定(FTA)を念頭に二国間交渉を求めた。対する日本は、来年にも発効する環太平洋経済連携協定(TPP)が日米双方にとって最善だと訴え、通商をめぐる両国間の溝は埋まらなかった。
米国は3月、鉄鋼・アルミ製品に新たな高関税を導入し、日本製品にも適用した。11月に中間選挙を控え、トランプ政権は「貿易不均衡の是正」という成果を得ようと、今後、より強硬な姿勢で臨んでくる可能性もある。
米国との摩擦がこれ以上激しくなるのをどう避けるか。日本はあくまで、公正で自由な貿易の原則を踏み外さず、丁寧な議論を重ねながら、その道を探らねばならない。
世界がいま最も懸念しているのは、米国が導入を検討している輸入車への高関税措置だ。発動されれば、世界経済に大きな打撃を与えかねない。
今回の日米協議で、日本が発動回避を求めたのに対し、米国は明確には答えなかった。輸入車への高関税を取引材料に使われるようでは、落ち着いた議論はできない。
米国内からも「米経済を弱める」などの異論が噴出している。発動を自制することこそ最善の策であることを、米政府に粘り強く説くべきだ。
協議では、日米の貿易を促進することでは一致したものの、具体的なことは9月に予定する次回会合で議論することになった。米国が輸出の自主規制といった自由貿易に反する手法を求めてきても、断固として断らねばならない。
米国に対する妥協案としては、液化天然ガス(LNG)や防衛装備品の輸入拡大、米国内の工場への投資などが取りざたされている。日本側の代表を務める茂木経済再生相も「今後の協議の中で、一般的な貿易ルールではないことも含めて議論することはあり得る」と語った。
だが、あるべき防衛力の観点から慎重に検討すべき防衛装備品の輸入拡大を、貿易不均衡の解消策として持ち出すのは、筋が違う。貿易協議の対象からは除外すべきだ。
世界貿易機関(WTO)改革など国際ルールづくりや、中国の知的財産権侵害の是正なども今回の会合で議題にあがったという。こうした問題で両国が協力することは歓迎できる。
経済大国である日米の協議は、二国間にとどまらず、世界全体の自由貿易を促進する役割を担うべきだ。




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