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アーバンリビングルーム

毎日新聞2018年9月28日 東京朝刊社説より

2019年9月26日
読了時間: 2分

「米国第一」を振りかざすトランプ米大統領のペースに巻き込まれたままの交渉にならないだろうか。

 安倍晋三首相とトランプ大統領が会談し、焦点となった日米の貿易を巡って、農産品などの関税引き下げ交渉に入ることで合意した。

 対日貿易赤字を問題視するトランプ氏は日本車への高関税をちらつかせてきたが、交渉中は回避することでも一致した。発動されると日本経済には大打撃だ。最悪の事態はひとまず避けられたと言える。

 ただ問題なのは、日本が高関税回避と引き換えに、米国に有利な2国間交渉を余儀なくされたことだ。

 自由貿易は本来、互いに市場を開放し経済全体の活性化を図るものだ。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で日本は農産品、米国は自動車関税引き下げを約束していた。2国間も同様の措置が必要だ。

 だがトランプ氏は2国間交渉を、米国の巨大な購買力をバックにして自らの意向を押し通す手段とみている。日本にも、米国に都合のいい要求をのませたいのだろう。

 なかでも気がかりなのは、米国が重視する農産品と自動車である。

 会談後の共同声明は、日本は農産品関税の引き下げをTPPで合意した水準までしか認めず、米国も尊重すると盛り込んだ。それでも日本が市場開放を認める以上、米国も見合った対応が求められる。だがTPPを離脱した米国が自動車などの関税引き下げに前向きとは考えにくい。

 また声明は、自動車貿易を巡り、米国の雇用増につながる内容を目指すとも明記した。米国が日本に輸出規制を迫ってくる恐れがある。

 米国は日本車への高関税発動を取り下げたわけではない。交渉が思うように進まなければ、再び持ち出してくる可能性もある。

 会談後に首相は「(両者に利益となる)ウィンウィンの関係を作り上げる」と述べた。ならば日米双方の国益に資する交渉を目指すべきだ。自由貿易で最も利益を得たのは米国だ。そのメリットを説き、日米の一段の市場開放を図る必要がある。

 日本などは米国抜きのTPP発効で合意している。日米の関税交渉がTPPで合意した内容でまとまれば米国の復帰にも役立つ。困難だが、粘り強く交渉に取り組むべきだ。

 
 
 

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